・「うなごうじ」は「蛆虫」か?(柴田晴廣)

 「若葉祭」は、

「行列の中心となる『やんよう神』が、笹踊りのはやしにのって所かまわず『うじ虫』のように寝転がる様子から『うなごうじ祭』とも呼ばれる」(豊川市観光協会ホームページ)のように、

紹介される。

 

 しかし「やんようがみ」は「行列(神幸)」の中心でもなければ、「うじ虫のように寝転がる」わけでもない。

「やんようがみ」は、「笹踊」の囃子方で、「笹踊歌」の「やんようがみもやんよう」の囃子詞にあわせ、柔道の後ろ受身の要領でいっせいに寝転ぶ。

この寝転び様のどこが「うじ虫」のようだというのだろう。

  

 いわゆる「うなごうじ=蛆虫」説は、伊奈森太郎(18831961)の『三河のお祭』(1953年発行)あたりから、人口に膾炙するようになったと思われる。

 『三河のお祭』は、「ウナゴウジというのはウジムシのことで、これは行列の一組である笹踊の一隊の中にヤンヨウガミというのが有ってウジ虫の如く地上をころころ転びのたづるから付いた名である」(同書69頁)と述べている。

だが「若葉祭」の「やんようがみ」は、仰向けに寝転がるものの、伊奈の言うように「地上をころころ転びのたづ」ったりはしない。

 

 「東三河の『笹踊』カレンダー」には、牛久保のほか、大木や新城の大宮でも「笹踊」の囃子方が寝転ぶ旨を記しているが、

大木や大宮のそれの方が、「地上をころころ転びのたづ」り、むしろこちらの方が「ウジ虫の如く」といえる。

加えて大木のお祭りも大宮のお祭りも、「若葉祭」といった固有の名称はないのだ。

仮に「地上をころころ転びのたづる」様子から「うなごうじ祭」という名称が付いたとするならば、大木のお祭りや大宮のお祭りを「大木のうなごうじ祭」、「大宮のうなごうじ祭」となぜ言わないのだろう。

 

 こうしたことから、「地上をころころ転びのたづる」様から「うなごうじ祭」という通称が付いたとは、思われない。

 

 豊川市観光協会のいう「うじ虫のように寝転がる様子から「うなごうじ祭」とも呼ばれる」などは取るに足らない妄説であるが、

では「うなごうじ祭」の「うなごうじ」とは何か、

 

これはまだまだ謎なのだ。